膀胱炎 - 富田林の泌尿器科

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膀胱炎とは

膀胱炎は、膀胱の内側を覆う粘膜に細菌が感染することで発症する疾患です。
特に女性に多く見られ、日常生活に支障をきたす場合があります。放置すると、腎盂腎炎など重篤な合併症を引き起こす可能性もあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
本記事では、膀胱炎の定義、原因、症状、診断、治療について、わかりやすく詳しく解説します。

膀胱炎の定義

膀胱炎とは、膀胱の内側を覆う粘膜に細菌が感染し、炎症を引き起こす疾患です。
膀胱は、尿を一時的に貯留する器官で、感染により膀胱壁の損傷や浮腫が生じると、頻尿や排尿時の痛みなどの症状が現れます。
膀胱炎は、急性と慢性に分類されます。急性膀胱炎は、突然発症し、数日から数週間で治癒する一方、慢性膀胱炎は、症状が長期間持続したり、繰り返し再発したりします。

膀胱炎の原因

膀胱炎の主な原因は、大腸菌などの細菌感染です。女性は尿道が短く、膀胱に近いため、細菌が侵入しやすく、膀胱炎になりやすい傾向があります。
また、女性ホルモンのエストロゲンは、膀胱粘膜を保護する働きがありますが、閉経後はエストロゲンの分泌が減少するため、高齢女性は膀胱炎のリスクが高くなります。その他の原因として、以下のようなものがあげられます。

  • カテーテルの長期留置尿道にカテーテルを挿入すると、細菌が侵入しやすくなる。
  • 性交渉による細菌の侵入性交渉により、細菌が尿道から膀胱に侵入することがある。
  • 免疫力の低下糖尿病や HIV感染症など、免疫力が低下する疾患があると、感染のリスクが高まる。
  • ホルモンバランスの変化閉経後や妊娠中は、ホルモンバランスの変化により、膀胱炎になりやすい。
  • 膀胱の機能障害神経因性膀胱など、膀胱の機能に問題がある場合、尿の排出が困難となり、細菌が増殖しやすくなる。

膀胱炎の症状

膀胱炎の代表的な症状は以下の通りです。

  • 1.頻尿トイレが近くなり、少量ずつ何度も尿が出る。夜間にも頻繁にトイレに行く必要がある。
  • 2.残尿感排尿後も尿が残っているような感覚がある。膀胱が完全に空にならない感覚を伴う。
  • 3.排尿時の痛み尿を出す際に、膀胱部や尿道に痛みや灼熱感を感じる。痛みが強い場合は、尿意を我慢することが難しくなる。
  • 4.血尿炎症により膀胱粘膜が損傷を受けると、尿に血が混ざることがある。鮮血尿や肉眼的血尿が見られる場合がある。
  • 5.腰痛膀胱炎が尿管や腎臓に波及すると、腰に痛みを感じる。背中の痛みや側腹部の痛みを伴うこともある。
  • 6.発熱炎症が進行すると、38度以上の発熱を伴うことがある。悪寒や倦怠感などの全身症状を伴う場合もある。

これらの症状は、個人差が大きく、すべての症状が現れるとは限りません。また、症状の程度も様々です。軽度の場合は、自然に治癒することもありますが、症状が強い場合や、数日経っても改善しない場合は、医療機関を受診する必要があります。

膀胱炎の診断

膀胱炎の診断は、問診と尿検査により行われます。医師は、症状や発症のきっかけ、既往歴などを詳しく聞き取ります。特に、過去に膀胱炎に罹患したことがあるかどうか、性交渉との関連性があるかどうかなどを確認します。

尿検査では、尿中の白血球や細菌の有無を調べ、炎症の程度や原因菌を特定します。尿試験紙を用いた定性検査では、白血球やニトリットの存在を調べます。白血球は、炎症の指標となり、ニトリットは、大腸菌などの細菌の存在を示唆します。尿沈渣検査では、顕微鏡下で尿中の細胞や細菌を直接観察します。

尿培養検査では、尿中の細菌を培養し、原因菌の種類や抗菌薬に対する感受性を調べます。
必要に応じて、膀胱鏡検査や画像検査を行う場合もあります。膀胱鏡検査では、尿道から膀胱内に内視鏡を挿入し、膀胱粘膜の状態を直接観察します。

腫瘍性病変や結石の有無、炎症の程度などを評価します。画像検査では、超音波検査や CT検査により、膀胱や腎臓の形態的異常を調べます。

膀胱炎の治療

膀胱炎の治療は、原因となる細菌を排除し、症状を改善することを目的とします。治療方針は、症状の重症度や原因菌の種類、患者の年齢や合併症の有無などを考慮して決定されます。

抗菌薬治療

膀胱炎の主な治療は、原因菌に効果のある抗菌薬の投与です。医師が症状や検査結果に基づいて、適切な抗菌薬を選択します。急性単純性膀胱炎の場合、第一選択薬は、ニューキノロン系やセファロスポリン系の抗菌薬です。これらの薬剤は、大腸菌などのグラム陰性桿菌に対して高い効果を示します。

通常、3〜7日間の内服が必要です。症状が改善しても、指示された期間は服用を続けることが重要です。
複雑性膀胱炎や再発性膀胱炎の場合は、抗菌薬の種類や投与期間を調整する必要があります。尿培養検査の結果に基づいて、原因菌に感受性のある抗菌薬を選択します。

カテーテル留置例や免疫不全患者では、広域スペクトラムの抗菌薬を使用することがあります。再発を繰り返す場合は、低用量の抗菌薬を長期間投与する予防的治療を行うこともあります。

生活習慣の改善

抗菌薬治療と並行して、以下のような生活習慣の改善も必要です。

  • ・水分を十分に摂取し、尿を薄めて細菌を洗い流す。1日2リットル以上の水分摂取を心がける。
  • ・排尿後は前から後ろに向かって拭き、細菌を肛門から尿道に持ち込まない。特に、女性は注意が必要。
  • ・性交渉後は、速やかに排尿し、尿道内の細菌を排出する。性交渉前後は、清潔を保つことが大切。
  • ・コットン製の下着を選び、肌に優しく、通気性の良い素材を選ぶ。タイトな下着は避け、清潔な下着を心がける。
  • ・便秘を避け、規則的な排便習慣を心がける。便秘により、腸内細菌が増殖し、膀胱炎のリスクが高まる。

生活習慣の改善は、膀胱炎の再発予防にも役立ちます。

予防措置

膀胱炎を予防するためには、以下のような措置が効果的です。

  • 1.頻繁な水分補給尿量を増やし、細菌を膀胱から排出する。特に、夏場や運動時は、こまめな水分補給が大切。
  • 2.排尿習慣の改善我慢せずに、こまめに排尿する。長時間尿を溜め込むことは避ける。
  • 3.性交渉時の注意性交渉前後は、十分な清潔を保つ。性交後は、速やかに排尿し、シャワーを浴びるなどの清潔措置を取る。
  • 4.ホルモン療法閉経後の女性は、医師と相談の上、ホルモン補充療法を検討する。エストロゲンを補充することで、膀胱粘膜の保護作用を高める。
  • 5.プロバイオティクスの摂取乳酸菌などのプロバイオティクスを摂取し、腸内環境を整える。腸内細菌叢のバランスを保つことで、病原菌の増殖を抑制する。
  • 6.膀胱訓練膀胱の機能を改善するために、計画的な排尿訓練を行う。徐々に尿を我慢する時間を延ばし、膀胱容量を増やす。
  • 7.衛生的な排尿方法トイレットペーパーは、前から後ろに向かって使用する。尿道口や肛門周囲を清潔に保つ。

膀胱炎は、適切な治療と予防措置により、多くの場合、早期に改善します。しかし、繰り返し発症する場合や、症状が重い場合は、泌尿器科専門医への相談が必要です。膀胱炎を放置すると、腎盂腎炎など重篤な合併症を引き起こす可能性があります。定期的な検診と自己管理により、膀胱炎を予防し、健康な生活を送りましょう。

膀胱炎は、決して軽視できない疾患です。早期発見と適切な治療が何よりも大切です。症状が現れたら、恥ずかしがらずに医療機関を受診しましょう。医師や看護師は、プライバシーに配慮しながら、丁寧に対応してくれます。自己判断で市販薬を使用することは避け、必ず医師の指示に従って治療を進めることが重要です。

また、パートナーとのコミュニケーションも大切です。性交渉が膀胱炎の原因となる場合は、パートナーにも理解と協力を求めることが必要です。お互いに清潔を保ち、排尿後の衛生管理を徹底することで、再発を防ぐことができます。
膀胱炎は、女性にとって身近な疾患ですが、男性も決して無縁ではありません。前立腺肥大症や尿道狭窄など、男性特有の要因により、膀胱炎を発症することがあります。男性も、排尿症状に異変を感じたら、泌尿器科を受診しましょう。

膀胱炎は、私たちの日常生活と密接に関わる疾患です。適切な予防措置と早期治療により、膀胱炎から身を守りましょう。健康的な生活習慣を心がけ、膀胱炎に負けない強い身体を作ることが何よりも大切です。