前立腺炎 - 富田林の泌尿器科

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前立腺炎とは

前立腺炎は、男性特有の疾患で、前立腺に炎症が起こる病気です。
前立腺は、男性の生殖器官の一部で、精液の一部を作り出す役割を担っています。
前立腺炎は、幅広い年齢層の男性に影響を与える可能性がありますが、特に30歳から50歳の男性に多く見られます。
この記事では、前立腺炎の定義、種類、症状、原因、診断、および治療について詳しく説明します。

前立腺炎の定義

前立腺炎は、前立腺に炎症が生じる疾患の総称です。前立腺は、膀胱の下部に位置する、クルミ大の腺組織です。前立腺の主な機能は、精子の運動性を高め、生存率を向上させる精液を産生することです。前立腺炎は、細菌感染や非細菌性の炎症によって引き起こされ、急性または慢性の経過をたどります。

前立腺炎は、男性の生活の質に大きな影響を与える可能性があります。症状には、排尿時の痛み、頻尿、性機能障害などがあり、日常生活や仕事、人間関係にも支障をきたすことがあります。したがって、前立腺炎の早期発見と適切な治療が重要です。

前立腺炎の種類

前立腺炎は、大きく分けて3つのタイプに分類されます。それぞれのタイプには、特徴的な症状、原因、治療法があります。

急性細菌性前立腺炎

急性細菌性前立腺炎は、細菌感染によって引き起こされる急性の炎症です。原因となる細菌は、大腸菌、クレブシエラ、プロテウスなどで、これらの細菌は尿道から前立腺に侵入します。症状は突然現れ、発熱、悪寒、下腹部痛、排尿時の痛み、頻尿などがあります。

急性細菌性前立腺炎は、尿路感染症の合併症として発症することがあります。また、尿道カテーテルの使用、前立腺生検、性感染症なども、急性細菌性前立腺炎のリスク因子です。

急性細菌性前立腺炎の診断は、尿や前立腺分泌液の細菌培養検査によって行われます。治療には、原因となる細菌に効果のある抗菌薬を2〜4週間投与します。早期の診断と治療が重要で、適切な治療を行えば、多くの場合、完治が期待できます。

慢性細菌性前立腺炎

慢性細菌性前立腺炎は、細菌感染によって引き起こされる慢性的な炎症です。急性細菌性前立腺炎が適切に治療されなかった場合や、反復する尿路感染症によって発症することがあります。症状は急性型よりも軽度で、下腹部の不快感、排尿困難、性交痛などがあります。

慢性細菌性前立腺炎の診断も、尿や前立腺分泌液の細菌培養検査によって行われます。治療には、長期的な抗菌薬投与が必要で、通常4〜12週間の投与が行われます。ただし、慢性細菌性前立腺炎は再発しやすく、完治が難しい場合もあります。

慢性骨盤痛症候群

慢性骨盤痛症候群は、非細菌性の炎症によって引き起こされる慢性的な症状です。以前は、非細菌性前立腺炎や慢性骨盤痛症候群(CPPS)と呼ばれていました。原因は明確ではありませんが、自己免疫疾患、神経の問題、筋肉の緊張、ストレスなどが関与していると考えられています。

慢性骨盤痛症候群の症状は、慢性細菌性前立腺炎と似ていますが、細菌感染は認められません。下腹部、会陰部、陰嚢の痛みや不快感、排尿時の痛みや灼熱感、頻尿、尿意切迫感、性交痛などがあります。

慢性骨盤痛症候群の診断は、症状と検査結果を総合的に評価して行われます。治療には、消炎鎮痛薬、アルファ遮断薬、理学療法、ストレス管理などが用いられます。ただし、慢性骨盤痛症候群は複雑な病態で、完治が難しい場合もあります。

前立腺炎の症状

前立腺炎の症状は、タイプによって異なりますが、以下のようなものがあります。

  • 下腹部、会陰部、陰嚢の痛みや不快感前立腺の炎症によって、下腹部から会陰部、陰嚢にかけての痛みや不快感が生じます。座ったり、立ったりするときに、痛みが増強することがあります。
  • 排尿時の痛みや灼熱感前立腺の炎症が尿道に影響を与えるため、排尿時に痛みや灼熱感を感じることがあります。
  • 頻尿、尿意切迫感前立腺の炎症によって、膀胱が刺激され、頻尿や尿意切迫感が生じます。夜間の頻尿で、睡眠が妨げられることもあります。
  • 尿勢の低下、排尿困難前立腺の腫脹によって、尿道が圧迫され、尿勢が低下したり、排尿困難が生じたりします。
  • 性交痛、射精時の痛み前立腺の炎症によって、性交時や射精時に痛みを感じることがあります。また、性欲の低下や勃起不全を伴うこともあります。
  • 発熱、悪寒(急性細菌性前立腺炎の場合)急性細菌性前立腺炎では、高熱や悪寒を伴うことがあります。全身倦怠感や食欲不振を伴う場合もあります。

これらの症状が長期間続く場合は、前立腺炎の可能性があるため、泌尿器科医の診察を受けることが重要です。早期の診断と適切な治療が、症状の改善と合併症の予防につながります。

前立腺炎の原因

前立腺炎の原因は、タイプによって異なります。

  • 急性および慢性細菌性前立腺炎大腸菌、クレブシエラ、プロテウスなどの細菌感染が原因です。これらの細菌は、尿道から前立腺に侵入します。尿路感染症の合併症として発症することもあります。
  • 慢性骨盤痛症候群明確な原因は不明ですが、自己免疫疾患、神経の問題、筋肉の緊張、ストレスなどが関与していると考えられています。前立腺や骨盤底筋群の慢性的な炎症や機能障害が、症状の原因と考えられています。

また、以下のような要因が前立腺炎のリスクを高めます。

  • 尿道カテーテルの使用尿道カテーテルの使用によって、細菌が尿道から前立腺に侵入しやすくなります。
  • 前立腺生検前立腺生検の合併症として、前立腺炎が発症することがあります。
  • 性感染症クラミジアや淋菌などの性感染症が、前立腺炎のリスクを高めます。
  • 免疫力の低下免疫力が低下している場合、細菌感染のリスクが高くなります。
  • 前立腺肥大症前立腺肥大症によって、尿の流れが妨げられ、細菌が前立腺に侵入しやすくなります。

前立腺炎の原因を特定することは、適切な治療方針を決定するために重要です。細菌感染が原因の場合は、抗菌薬治療が必要ですが、非細菌性の炎症の場合は、抗菌薬は効果がありません。したがって、詳細な検査によって、前立腺炎のタイプを正確に診断することが大切です。

前立腺炎の診断

前立腺炎の診断は、症状、身体検査、検査結果を総合的に評価して行われます。以下のような手順で診断が進められます。

  • 問診泌尿器科医が、症状、発症時期、既往歴、生活習慣などを詳しく聴取します。性感染症の有無、尿路感染症の既往、尿道カテーテルの使用歴なども確認します。
  • 身体検査直腸診によって、前立腺の腫脹や圧痛を確認します。前立腺が腫れていたり、触診で痛みを訴えたりする場合は、前立腺炎の可能性が高くなります。
  • 尿検査中間尿を採取し、尿の細菌培養検査、白血球数、潜血の有無などを調べます。細菌感染が原因の場合は、尿中に白血球や細菌が検出されます。
    前立腺分泌液検査:前立腺をマッサージして分泌液を採取し、細菌培養検査や白血球数を調べます。前立腺炎があると、分泌液中に白血球や細菌が増加します。
  • 画像検査超音波検査やMRIによって、前立腺の状態を評価します。前立腺の腫大、炎症、膿瘍などを検出することができます。
  • 尿流測定排尿状態を評価するために、尿の流れや残尿量を測定します。前立腺炎によって、尿勢が低下したり、残尿量が増加したりすることがあります。

これらの検査結果を基に、前立腺炎のタイプを診断し、適切な治療方針を決定します。急性細菌性前立腺炎の場合は、早期の診断と治療が重要です。慢性細菌性前立腺炎や慢性骨盤痛症候群の場合は、症状と検査結果を総合的に評価し、個々の患者に合わせた治療計画を立てることが大切です。

前立腺炎の治療

前立腺炎の治療は、タイプによって異なります。患者の症状、検査結果、全身状態を考慮して、適切な治療法を選択します。

抗菌薬治療

急性および慢性細菌性前立腺炎の場合、原因となる細菌に効果のある抗菌薬を使用します。急性型では2〜4週間、慢性型では4〜12週間の投与が必要です。使用する抗菌薬は、細菌培養検査の結果を基に選択します。

抗菌薬治療では、前立腺組織への移行性が良好な薬剤を選択することが重要です。ニューキノロン系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬が、前立腺炎の治療に有効とされています。

治療効果を確認するために、治療後も定期的な検査が必要です。症状が改善しても、細菌が完全に消失するまで、抗菌薬治療を継続することが大切です。

消炎鎮痛薬治療

慢性骨盤痛症候群の場合、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用して、炎症を抑え、痛みを和らげます。イブプロフェンやジクロフェナクなどのNSAIDsが使用されます。

NSAIDsは、炎症を引き起こす物質の産生を抑制することで、痛みや炎症を軽減します。ただし、長期的な使用では、消化管出血や腎機能障害などの副作用に注意が必要です。

アルファ遮断薬治療

前立腺や尿道の平滑筋を弛緩させ、排尿症状を改善するために、アルファ遮断薬を使用します。これは、慢性骨盤痛症候群や慢性細菌性前立腺炎に対して有効です。

アルファ遮断薬は、前立腺や尿道の平滑筋のアルファ受容体を遮断することで、平滑筋を弛緩させ、尿の流れを改善します。タムスロシンやシロドシンなどのアルファ遮断薬が使用されます。

アルファ遮断薬治療では、めまいや倦怠感などの副作用に注意が必要です。また、降圧剤を服用している場合は、相互作用に注意が必要です。

その他、以下のような治療法も用いられます。

  • 理学療法骨盤底筋体操、温熱療法、マッサージなどで症状を緩和します。骨盤底筋体操は、骨盤底筋群を強化し、尿道や前立腺への過剰な圧力を軽減します。温熱療法は、前立腺の血流を改善し、炎症を和らげます。マッサージは、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。
  • ストレス管理ストレスが症状を悪化させる可能性があるため、ストレス対処法を身につけることが重要です。リラクゼーション技法、瞑想、カウンセリングなどが有効です。ストレスを上手に管理することで、症状の改善や再発の防止につながります。
  • 生活習慣の改善十分な水分摂取、規則的な排尿、バランスの取れた食事、適度な運動などが症状の改善に役立ちます。水分を十分に摂取することで、尿が薄まり、細菌の増殖を抑制します。規則的な排尿は、膀胱や前立腺への刺激を軽減します。バランスの取れた食事は、免疫力を高め、炎症を抑制します。適度な運動は、血流を改善し、ストレスを軽減します。

前立腺炎は、適切な治療を行えば、多くの場合、症状を管理し、生活の質を向上させることができます。しかし、慢性的な症状に悩まされる場合もあるため、長期的な経過観察と治療が必要です。治療効果が不十分な場合は、泌尿器科医と相談し、治療方針を見直すことが大切です。

前立腺炎を予防するために、以下のようなことが重要です。

  • 十分な水分摂取と規則的な排尿で、細菌の増殖を抑制する1日2リットル以上の水分を摂取し、こまめに排尿することで、尿が薄まり、細菌の増殖を抑制します。
  • 性感染症の予防と早期治療コンドームの使用や定期的な検査によって、性感染症を予防します。性感染症に罹患した場合は、早期に治療することが重要です。
  • 前立腺肥大症の適切な管理前立腺肥大症がある場合は、適切な治療を受け、尿の流れを改善することが大切です。
  • ストレス管理と適度な運動ストレスを上手に管理し、適度な運動を心がけることで、前立腺炎のリスクを下げることができます。

前立腺炎は、男性特有の疾患ですが、適切な治療と生活習慣の改善により、多くの場合、症状をコントロールし、生活の質を維持することができます。症状が長期間続く場合は、泌尿器科医に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。

前立腺炎は、男性の生活の質に大きな影響を与える疾患ですが、早期発見と適切な治療によって、症状を管理し、合併症を予防することができます。前立腺炎の症状は、他の疾患と似ている場合もあるため、自己診断せずに、泌尿器科医の診察を受けることが重要です。

また、前立腺炎の治療には、患者自身の理解と協力が不可欠です。医師の指示に従って、薬物療法、理学療法、生活習慣の改善に取り組むことが大切です。治療には時間がかかる場合もありますが、あきらめずに、医師と協力して、症状の改善を目指すことが重要です。

前立腺炎は、男性の健康問題として、社会的にも関心が高まっています。前立腺炎の研究は進歩しており、新しい診断法や治療法の開発が進められています。将来的には、さらに効果的な予防法や治療法が確立されることが期待されます。

前立腺炎について、正しい知識を持ち、早期発見と適切な治療に努めることが、男性の健康維持につながります。前立腺炎の症状があれば、遠慮せずに、泌尿器科医に相談することが大切です。適切な治療を受けることで、前立腺炎の症状を改善し、豊かな人生を送ることができます。