診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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午前 8:30-12:00 | ● | ● | - | ● | ● | ● | - |
午後 3:00-5:00 | ● | - | - | ● | - | - | - |
夜間 5:00-7:00 | - | ● | - | - | ● | - | - |
※休診日:水曜・日曜・祝日(往診随時・手術随時)
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前立腺に違和感を覚えたとき、多くの男性が頭をよぎるのが「がんではないか」という不安です。実際には、前立腺の問題の多くは良性の前立腺肥大症であることが大半です。しかし、症状が似ているため、混同されやすい前立腺肥大症と前立腺癌。
どちらも50歳以上の男性に多く発症するため、「尿の出が悪い」「夜間頻尿がある」といった症状があるとき、どちらの可能性があるのか気になるところです。
本記事では、この2つの疾患の症状、検査方法、治療法などの違いを詳しく解説し、適切な医療機関への受診の重要性をお伝えします。早期発見・早期治療が可能な前立腺の病気について正しい知識を身につけ、健康管理に役立てましょう。
前立腺は膀胱の出口にある栗の実ほどの大きさの臓器で、加齢とともに様々な問題が生じやすくなります。前立腺に関わる代表的な疾患である前立腺肥大症と前立腺癌について、その基本的な違いを見ていきましょう。
前立腺肥大症は、前立腺の内腺という部分が加齢に伴って肥大する良性疾患です。50歳以上の男性に多く見られ、年齢が上がるにつれて発症率も上昇します。60歳代で約半数、80歳代では8割以上の男性が何らかの症状を持つとされています。
前立腺が肥大すると、尿道を圧迫して排尿障害を引き起こします。初期は軽度の症状から始まりますが、進行すると生活の質を大きく低下させる原因となります。重要なポイントは、前立腺肥大症は「がん」ではないということです。良性の変化であり、生命に直接関わることは少ない疾患です。
一方、前立腺癌は前立腺の細胞ががん化した悪性腫瘍です。日本人男性のがんの中で罹患率が増加傾向にあり、近年では年間約9万人が新たに診断されています。前立腺癌も高齢になるほど発症リスクが高まり、65歳以上の男性に多く見られます。
前立腺癌の特徴は、初期には自覚症状がほとんどないことです。進行して大きくなると排尿障害などの症状が現れますが、この時点では既に進行している可能性があります。また、骨などへの転移を起こしやすいことも特徴で、早期発見・早期治療が非常に重要ながんの一つです。
両者の大きな違いの一つが、発生する部位です。前立腺肥大症は前立腺の内側(内腺)から発生するのに対し、前立腺癌は主に前立腺の外側(外腺)から発生します。このような発生部位の違いが、後述する症状の違いにも関連してきます。
前立腺肥大症と前立腺癌、どちらも排尿に関する症状が現れますが、その現れ方や進行過程には違いがあります。自分自身で完全に見分けることは難しいですが、参考になる症状の特徴を解説します。
前立腺肥大症の症状は、前立腺が大きくなって尿道を圧迫することにより生じる「排尿障害」が中心です。
具体的には以下のような症状が見られます:
これらの症状は通常、徐々に進行し、数か月から数年かけてゆっくりと悪化していきます。痛みを伴うことは少なく、日常生活の質の低下として自覚されることが多いです。
前立腺癌の最大の特徴は、初期にはほとんど症状がないことです。多くの場合、健康診断などで偶然発見されるか、進行してから以下のような症状が現れます:
前立腺癌特有の初期症状はあまりないため、前立腺肥大症と自己判断で区別することは困難です。両者の症状は重複することも多く、医師による専門的な検査が不可欠です。
症状だけでは両者を完全に区別することは難しいですが、以下のポイントは注意が必要です:
いずれにしても、これらの症状が現れた場合は、自己判断せずに速やかに泌尿器科を受診することが重要です。医師による適切な検査によってのみ、正確な診断が可能となります。
前立腺肥大症と前立腺癌を区別するためには、専門的な検査が必要です。両疾患の診断に用いられる検査方法とその違いについて解説します。
まず、両疾患の診断で共通して行われる基本的な検査には以下のものがあります:
これらの検査は初診時に一般的に行われるもので、前立腺の状態を大まかに把握するために重要です。
前立腺肥大症の診断では、主に排尿機能に関する以下の検査が重視されます:
これらの検査は、症状の重症度を客観的に評価し、治療方針を決定するのに役立ちます。
前立腺癌の診断では、がんの有無や進行度を確認するための特殊な検査が行われます:
前立腺肥大症の検査では、前立腺の大きさや排尿障害の程度が重視されるのに対し、前立腺癌の検査では悪性細胞の有無やその広がりに焦点が当てられます。
PSA検査は両疾患の鑑別に重要ですが、数値だけで判断できるものではありません。PSA値が高くても前立腺肥大症や炎症の場合もあれば、正常範囲内でも前立腺癌が見つかることもあります。そのため、総合的な判断が医師によって行われます。
前立腺肥大症と前立腺癌は根本的に異なる疾患であるため、治療アプローチも大きく異なります。それぞれの治療法について解説します。
前立腺肥大症の治療は、症状の重症度に応じて段階的に行われます:
軽度の症状で日常生活に支障がない場合は、定期的な検診で様子を見ることもあります。生活習慣の改善(水分摂取のコントロール、カフェインやアルコールの制限など)も併せて指導されます。
中等度以上の症状がある場合は、以下のような薬物治療が行われます:
薬物療法で効果不十分な場合や、尿閉(尿が全く出なくなる状態)などの合併症がある場合は手術が検討されます:
これらの治療は、症状の改善を目的としており、生命予後に大きく影響することは少ないです。
前立腺癌の治療は、がんの進行度(ステージ)、悪性度(グリーソンスコア)、患者の年齢や全身状態、PSA値などを総合的に判断して決定されます:
早期の低リスク前立腺癌では、定期的なPSA検査やMRI、再生検などで経過を観察する方法も選択肢となります。特に高齢者や他の健康問題を抱える患者さんでは、積極的な治療よりもこのアプローチが選ばれることもあります。
がんを完全に取り除くことを目的とした治療です:
男性ホルモン(テストステロン)の作用を抑えることで、がんの増殖を抑制する治療法です。進行癌や転移がある場合の標準治療となりますが、早期癌でも他の治療と併用されることがあります。
進行した前立腺癌や、ホルモン療法が効かなくなった状態(去勢抵抗性前立腺癌)に対して行われます。
前立腺癌の治療は、がんの状態と患者さんの状況に合わせて個別化されることが重要です。また、近年は副作用を最小限に抑えつつ治療効果を最大化する取り組みが進んでいます。
前立腺肥大症の治療後は、排尿症状の改善が主な目標です。一方、前立腺癌の治療後は、がんの再発や進行の監視が重要となります。
どちらの疾患でも、治療によって排尿機能や性機能に影響が出ることがあるため、治療選択の際には医師とよく相談し、生活の質(QOL)も考慮した判断が必要です。
多くの方が気になるのが、「前立腺肥大症は前立腺癌に進行するのか?」という疑問です。結論から言えば、前立腺肥大症自体が前立腺癌に変化する(悪性化する)ことはないとされています。
前立腺肥大症と前立腺癌は、以下の点で明確に区別されます:
前立腺肥大症と前立腺癌は同じ臓器に同時に存在することがあります。これは、一方が他方の原因となるわけではなく、単に同じ臓器に別々の問題が生じているという状態です。特に高齢になると、両方の疾患のリスクが高まるため、併存することも少なくありません。
前立腺肥大症があると診断された場合でも、以下のような変化があれば前立腺癌の可能性も考慮して再検査を受けることが重要です:
前立腺肥大症の診断を受けた後も、定期的な検診を継続することで、万が一前立腺癌が発生した場合も早期発見につながります。
前立腺肥大症も前立腺癌も、早期の段階で発見されれば、治療の選択肢が広がり、良好な結果が期待できます。特に前立腺癌は早期発見が極めて重要です。
前立腺癌は早期に発見されれば、5年生存率が90%以上と非常に高い数値を示します。一方、転移がある進行癌では生存率が大きく低下します。早期発見のメリットには以下のようなものがあります:
前立腺肥大症も早期に適切な対応をすることで、以下のようなメリットがあります:
50歳以上の男性、特に前立腺癌の家族歴がある方は、以下のような定期的な健康チェックを検討すべきです:
症状がなくても定期的な検診を受けることで、万が一の場合も早期発見につながります。特に前立腺癌は初期には無症状であることが多いため、定期検診の重要性が高いと言えます。
前立腺肥大症と前立腺癌について、その違いと特徴を解説してきました。最後に重要なポイントをまとめます。
以下のような症状があれば、泌尿器科の受診を検討しましょう:
前立腺の問題が疑われる場合は、以下のような医療機関の受診を検討しましょう:
前立腺の問題は、高齢男性の多くが直面する可能性がある健康課題です。症状があればできるだけ早く専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。前立腺肥大症も前立腺癌も、早期発見・早期治療によって良好な結果が期待できます。
「もしかして癌かもしれない」という不安から受診をためらうことがありますが、実際には多くの場合が前立腺肥大症であったり、早期の前立腺癌であったりします。不安を抱えたまま過ごすよりも、専門医に相談して正確な診断を受けることが、あなたの健康と安心のために最も重要なステップです。